ユーロニンフという釣りがここ数年フライフィッシングのジャンルの中で新たなカテゴリーとして市民権を得た感じがします。このサイトでは細かな定義やルーツではなく魚をたくさん釣ることにこだわって自分なりの経験をまとめたレポートになっています。
難しく考えずにまずはチャレンジしてみたい方の参考になれば幸いです。
他にも良いアイデアなどがあれば是非とも情報をいただきたく思います。
ユーロニンフとは
「ユーロニンフ」とは世界的な視点からヨーロッパ圏の強豪国の釣法を総称した「ヨーロピアンニンフ」の略称と云われています。元々はフライフィッシング世界選手権でチェコ代表チームが初めて使い出したニンフシステムなので「チェコニンフ」と呼ばれていたようです。また、「チェックニンフ」という表現も目にしますが流れの中のあらゆるポイントや層をくまなくチェツクすることが語源ともいわれます。
ユーロニンフの基本とタックル選び
ロッド
ユーロニンフィングの特徴ですが竿先を高く持ち上げてフライを狙いとするポイントに送り込むにあたり竿は長い方が有利と言えます。後は軽いにこしたことはないのとアタリを取る感度との兼ね合いとなります。
竿の長さは10ft以上の長めのものが一般的ですが、ラインを張った状態で魚の定位するレーンにフライを流すには長い方が有利なためと理解しています。
以前、14ftのテンカラ竿をお借りして釣りをしたことがあるのですが、その優位性は明確でした。一方で、当然ながら足元に近いレーンの釣りが雑になりがちなのと、竿が長く柔らかいこともあり竿先の軌道コントロールが難しく、結果的にフライをピンスポットで目的の位置に送り届けて流すこと(フライコントロール)も難しい印象でした。更に手返しの良さという点では短い竿の方が有利といえます。
この手返しの良さとフライコントロールは、私がユーロニンフィングにおいて最も重要視しているところです。この点は後述の「ユーロニンフにおけるライシステムの利点」に記載していますので是非ともお読みいただければと思います。
結論、10~11ftくらいがベストということでしょうか。市販されるユーロニンフロッドが概ねその幅に落ち着いていることに自分自身で納得がいくところです。
Sage ESN、Echo Shadow X、K-Bullet SONAR あたりは有名どころで初めての方にはお勧めかと思います。
※Sage ESNは憧れですが高額なため私は断念(>_<)
リール
フライリールはフライラインに細めのラインを使用することから巻き込み防止のラインガード付きがお勧めです。
ラインの素材にもよりますが巻き癖が着きづらい、大物釣りの場合引き出されるラインも長い場合もあり、その回収の効率性という観点からもラージアーバーのリール(口径が大きなもの)が有効といえます。
重量に関しては、軽い方が竿を持ち上げてフライをピンポイントに送り込む特性からも軽いに越したことはありませんが、リールは竿とセットした際に重さの支点になること、アタリを感じた瞬時にアワセ喰らわすこの釣りの特性からも竿とのバランスは重要となります。
また、底にへ張り付いた大物を引き釣り出す機会も多いためドラグ機能はしっかりとしていた方が良いのは言うまでもありません。
Sage ESN、Hardy Ultradisc UDLAあたりが物としては間違いないのでしようか、竿と同様にこれらブランドは高価ですのでお財布と相談しながらの選択です。ちなみに私は、K.Bullet VOLT #2-4を愛用しています。
フライライン
フライラインはRIO、Scientific Anglersからユーロニンフ専用のラインが発売されているためそれを使用するのがスタンダードだと思いますが、高価であることから私はエギング、ヤエン、磯釣りやチヌの落とし込み釣り用に販売されているカラーライン(ナイロンまたはフロロ)を使用しています(2号)。
ナイロンとフロロカーボンの使用感の比較検証はこちらの記事をご参照ください。
それぞれにメリット・デメリットはあります。前者はラインの自重で遠投できるためフライが小さく軽い時でも遠方の流れをトレースしてフライを魚の鼻先に送り込むことが出来ますがその自重によりドラッグが掛かりやすいデメリットがあります。ハンドリングのし易さもあるかもしれません。後者は何より低価格であることが一番のメリットですが、自重がほぼないためドラッグは掛かりずらいです。
しかし、遠投するにはフライやガン玉でラインの先端を重くしないと飛ばないのと竿先を支点にしてフライが振り子状に流れを横断して手前に寄って来るので魚のフィーディングレーンを長く流せないデメリットがあります。立ち位置によりこのデメリットはある程度解消可能ですが。
また、いわゆる通常のフライラインを使用しないことに否定的なお考えの方もおられるかもしれませんがそこは考え方次第代です。オモリやスイベルを遣うことも邪道と言われる風潮もありますが、人それぞれの楽しみ方、考え方があって然るべきです。私はタイトルにも記述の通り「釣果」にこだわった考えをモットーとしています。
サイター(インジケーター)・リーダー
インジケーター・リーダーは一般的にはサイターラインを接続する部分ですが、私は安いモノフィラメントリーダーに目印を付けて代用しています(1.5m)。モノフィラメントリーダーは東レの銀鱗など安いので十分です(1.5号)。そこに上記「フライライン」のところで紹介したカラーラインの端切れを結んで使用しています。
はじめは鮎釣り用の目印を使っていましたが、可能な限り水面下への刺激や濡れて重くなった目印でラインが手前に寄って来ること(おつり)を抑えたいことを理由に今はカラーラインの端切れを使用しています。
また、サイターを使用する場合は川の深さや探る層に応じてティペットの長さをその都度変える必要がありますが、目印の場合は移動式ですので探る層に応じて即時移動できるのが最大の利点です。
更に、「底を攻める釣り」においてリスクとして避けられないのが根掛かりです。市販のおしゃれな「サイター」といわれる商品はお値段も張ることが多いので根掛かり時の喪失ショックを和らげるためにも端切れ利用は合理的だと自画自賛です(^-^)
ティペット
インジケーター・リーダーとの結束部からリードフライまでの長さは75cm程度(矢引き)。リードフライからガン玉までは30cm、ガン玉からドロッパーの結束部まで30cm、ドロッパーの枝長は20cm。ティペットの長さのバランス(フックとガン玉の位置関係)は、このような感じで間隔を空けます。
この間隔を基本とし、ティペットの太さ、またガン玉やフライ自体の重さにより絡まったりライントラブルが発生するようであれば適宜間隔を空けて微調整します。
更に大物狙いの場合、狙っている魚の大きさ分はドロッパーとリードフライの間隔を空けておくのが基本と言われます。この距離が近接しているとヒットの後、フッキングしていない針が魚に掛かりトラブルやバラシの原因となるのでこの点も考慮に入れると尚良いと思います。
ラインシステムのバランスと特性を理解したキャスティング
ドロッパー使用のラインシステムは慣れないとライントラブルが頻発して釣りにならないと思います。ガン玉の位置はリードフライがドロッパー側に折り返した際にドロッパーの針と接触しなない位置関係がベストです。
上段のティペットで記載した通り、その長さと位置関係をご参考下さい。それと最も大事なのがキャスト回数は極力減らすということです。
更に、限りなくワイドループを意識してラインのテンションを緩めないことが肝要です。
フライキャスティングとしての趣感は損ないますが、目の前の魚を釣り上げることを優先します。
「ルースニングの基本理解から実践まで」でもキャスティングについては触れていますのでそちらも是非ご参考下さい。
アタリの取り方
魚のアタリは様々な形で五感を使いキャッチします。
- ライン(マーカー)が引き込まれる
- ライン(マーカー)の流れが止まる
- サイトで魚がフライに食いつくのを確認する(口の開閉、平を打つ、首を振る、反転する等)
- その他、違和感を感じた時
- 竿でガタガタとアタリを感じる
1.から2.は川の流れや魚の反応の程度によって現象が変わってくると思います。
3.についてはサイトで魚を捉えていることが前提とりますが、フライが鼻先に来た位置で口が開閉すると口中の白い部分が見えるのでフライに食いついたことが確認できます。フライの流れる位置が正確に把握出来なくても、「おそらくこの辺り」と思った位置で口の開閉が確認できた場合は念のために合わせを入れます。
4.についても3.と同様に軽く合わせを入れます。空合わせという考え方もあれば「誘い」や「底をたたくフライの根掛かり防止」といった意味合いもあります。
5.はユーロニンフがフライから竿先までラインが直線であることから魚のアタリをダイレクトに感じやすい特徴でもあります。
ユーロニンフにおけるラインシステムの利点
ユーロニンフィングの特徴の一つにラインシステムがコンパクトかつシンプルということが上げられます。これはフライという”点”をコントロールして魚の鼻先に送り届けることが出来るという最強のメリットを生みます。また、フライの位置を可能な限り捉えて流すことで、フライに対する魚の反応を主体的にキャッチし、マーカーや手元感覚では分からないアタリも逃さずにヒットに繋げることが出来ます。
もちろんドライフライフィッシングにおけるロングリーダー・ティペットシステム、ウエットフライにおいても魚のフィーディングレーンに如何にして乗せるかは重要であり常にそれを心がけますが、ユーロニンフィングのシステムはコンパクトかつシンプルなことから表層からベタ底までフライをコントロールし易く、より正確に高確率で魚の鼻先に届けることが出来ます。
この”正確さ”と”高確率”というのが大切で、魚もスレてくるとどこの川も釣果が落ちてくるものですが、しつこく何度も流されるとついつい食ってしまうということは往々にしてあります。 手返し良く繰り返し魚の鼻先にフライを届けられるかということが大きな釣果の分かれ目となると考えます。
ユーロニンフにおけるフライ選択について
上記ラインシステムでフライを”点”で捉えると記述した通り、フライ自体に自重がある、もしくはフライに接近した位置にガン玉等のおもりをセットすることが、ラインシステムの延長上において、またフライを選択する上で、フライをコントロールし魚の鼻先に送り届ける為には非常に重要となります。
よってビーズヘッドニンフの使用頻度は必然的に高くなりす。また、フライの浮遊性で誘いを掛ける場合ノンウエイトのフライを用いる場合もありますが、その際には20~30cm程度の接近地にガン玉を噛ませます。
ロッドティップから先のラインが基本的には一直線に伸びており、フライの位置コントロールを失わないよう、また合わせのタイミングを逃さないようシステムを機能させることが釣果に繋がるポイントと言えます。
フライパターンとマテリアルのご紹介
【マテリアル:GBHヘアーズイヤーニンフ】
●フック・・・MARUTO No.9644BL チヌリング・スレ1~2号、環付(外折)、平打(その他、TMC2488 #10~14)、ゲイプの広いもの
●ビーズヘッド・・・タングステン3.3mmゴールド
●テイル・・・フェザント・テイル
●ボディ・・・タシロニンフ・ダブ(ヒゲナガ・ビューパ)
●リブ・・・ゴールドワイヤ
●ウイングケース・・・ヘン・フェザント・クイル
●レッグ・・・パートリッジ
【マテリアル:GBHウイリーバガー】
●フック・・・MARUTO No.9644BL チヌリング・スレ1~2号、環付(外折)、平打(その他、TMC2488 #10~14)、ゲイプの広いもの
●ビーズヘッド・・・タングステン3.3mmゴールド
●テイル・・・黒のコックネック柔らかいフィバー(もしくはマラブー)
●ボディ・・・ピーコック・ハール
●リブ・・・ゴールドワイヤ
●ハックル・・・テイルに使ったハックルのゲィプ幅のファイバーを使用
【マテリアル:GBHプリンスニンフ】
●フック・・・MARUTO No.9644BL チヌリング・スレ1~2号、環付(外折)、平打(その他、TMC2488 #10~14)、ゲイプの広いもの
●ビーズヘッド・・・タングステン3.3mmゴールド
●テイル・・・ブラウンのコックネック柔らかいフィバー(もしくはグースクイル)
●ボディ・・・ピーコック・ハール
●リブ・・・ゴールドワイヤ
●ハックル・・・テイルに使ったハックルのゲィプ幅のファイバーを使用
●ウイング・・・ホワイトグースクイル
【マテリアル:GBHエッグ(卵黄あり)】
●フック・・・MARUTO No.9644BL チヌリング・スレ1~2号、環付(外折)、平打(その他、TMC2488 #10~14)、ゲイプの広いもの
●ビーズヘッド・・・タングステン3.3mmゴールド
●ボディ・・・Kencube UVスレッド(ホットオレンジ)
エッグヤーン(蛍光レッド<卵黄>、蛍光オレンジ)
●スレッド・・・Kencube UVスレッド(ホットオレンジ)
【マテリアル:ベルディゴン】
●フック・・・MARUTO No.9644BL チヌリング・スレ1~2号、環付(外折)、平打(その他、TMC2488 #10~14)、ゲイプの広いもの
●ビーズヘッド・・・タングステン3.3mmゴールド
●テイル・・・グリズリーのコックネック柔らかいフィバー
●ボディ・・・フラッシャブー(ホログラフィック)
●ホットスポット・・・Kencube UVスレッド(ホットオレンジ)
※UVレジンでボディを表面硬化
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